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源氏物語

源氏物語たより211

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  源氏物語を十五回読み終わって 源氏物語たより211

 今回で源氏物語を十五回読み終わったことになる。「上原まり」の筑前琵琶による「瀬戸内寂聴源氏を読む」を聞いたのが、平成二十年一月。それ以降だから、六年半で十五回読んだことになる。
 それにしても、源氏物語の原文を十五回も読んだという人はそれほど多くはあるまい。国文学を専攻した人でも、原文で最後まで読むということはしないのではなかろうか。源氏物語の専門家ででもなければ、これほど読むことはあり得ないことと思う。おそらくこれは富士山に千回登ったのに匹敵する快挙だと言っていいだろう。その意味で、自分の根性、忍耐、執念、体力を褒めてあげたい気がする。

 どうしてこういうことになったのかを、一言でいえば、「源氏物語は面白いから」ということに尽きる。訳文でもその面白さは味わうことができるのかもしれないが、問題なのは、訳文だとみな分かったような気がしてしまうことだ。だから二度も三度も読む気にはならないのではなかろうか。原文は難しいが故に何度も読まなければならないことになる。そして、読むたびに源氏物語は新たな面白さを提供してくれる。新たな味が発見できる。それに古語の響きがたまらない。
 以前、「須磨帰り」ということを書いたことがある。一念発起して源氏物語の原文読みに挑戦したが、あまりの難しさと超長編に辟易して、『須磨』の巻あたりで疲れ切ってしまって戻ってきてしまう(止めてしまう)という現象のことだ。とにかく『夢の浮橋』の巻に至るまでの行程は、誠にはるかなる道である。私のような酔狂な者でなければ、やはり『須磨』あたりで戻ってくるのもやむを得ないというところであろう。
 『須磨』の巻までは、全体の五分の一程度。マラソンで言えば、8、4キロ付近でリタイヤということである。

 ここまでにも面白い巻はメジロ押しにある。『桐壺』『空蝉』『夕顔』『若紫』『紅葉の賀』『花宴』『葵』『榊』などなど、光源氏が一番輝いている時で、いずれも読みごたえのある巻、巻である。
 でも、やはり『若菜』の巻を読まないと源氏物語を読んだことにはならないし、浮舟が登場する『宇治十帖』を読まなければ、人間の哀しい性に触れることができない。 
 その『若菜』の巻が、また痺れるほどに長い。物語全体の9,4%を占めていて、そのこともあってか、この巻は『上』の巻『下』の巻に分かれている。この巻の内容に深入りするのは、ここでの主旨ではないので省くが、この巻にこそ源氏物語のエキスが凝集されていると言える。『須磨』の巻で引き返してしまった人々には哀悼の意を捧げたくなるほどである。
 『宇治十帖』については、源氏亡き後のことで、私も、当初は『幻』の巻以降を敬遠していたのだが、源氏の子供である薫(実は女三宮と柏木の子)と源氏の孫の匂宮という二人の男と、宇治の三人の姫君たちとの緊迫感にあふれたやり取りは、びりびり心を揺する。特に浮舟の宇治川投身に至るまでの女の情念と人間の業の哀しさには、息をのむ思いがする。
 『更級日記』の作者・菅原孝標の娘が、叔母がゆずってくれた源氏物語を
 『一の巻きよりして、人もまじらず、几帳のうちに臥して引き出でつつ見る心地、后の位も何かはせむ。昼は日ぐらし、夜は目の覚めたる限り、火を近くともして、これを見るよりほかのことなければ』
とむさぼり読んだ気持ちがよく分かる。「后の位がなんぞ」というのだからもう神がかりの追っかけマンである。
 優れた作品というものは、何物をも捨てても何度でも読みたくなるものである。映画も同じことで、名画は何度見ても飽きない。源氏物語はまさにそういう魅力にあふれている。
 源氏物語は、筋の面白さはもとより、

 読むたびに新しい発見があること。
 無駄のない緊密な全体構成、省くべきは省く省筆の妙があること。
 登場人物の緻密・精密で的確な心理描写がなされていること。
 人事と自然の精緻な行き来があること。
 絶妙な言葉の言い回し。深刻な状況の場面にふと配された滑稽。辛辣な批判や皮肉に出会えること。
 胸のすくような展開とやりきれない結末であること。
 分かっていてもそうせざるを得ない人間の哀しい性(さが)が描き出されていること。
 
 これらが、紫式部のたぐいまれな筆の力によって自在に切り回されていて、読む者は、いつの間にか登場人物のあの人この人に感情移入させられてしまう。

 それでは十五回読んだ功に免じていただいて、五十四帖の評価をしておきたいと思う。

【比較的に原文で読みやすい巻】
  桐壷、空蝉、夕顔、若紫、紅葉賀、花宴、葵、賢木、明石、蓬生、松風、乙女、野分、玉鬘(後半は難しい)、真木柱(や  や難しいところもある)、御法、幻、橋姫、早蕨、東屋、浮舟、手習、夢の浮橋
【面白い巻】
  上掲のすべての巻に、薄雲、篝火、藤裏葉、若菜上・下、柏木、横笛、夕霧、総角、宿木、蜻蛉
  末摘花の巻も面白いが、いじめが過ぎて心から楽しめない。
【超難解な巻】
  帚木(後半は空蝉の話)、朝顔、初音、胡蝶、蛍、常夏、絵合、総角(一部分)
【あまり面白くない巻】
  花散里、澪標、行幸、梅枝、鈴虫、匂宮、竹河、紅梅
【面白くない巻】
  関屋、朝顔(重大な意味を持つ巻ではるが)、初音、胡蝶、藤袴

 いずれにしても古語に慣れていないと読むのは困難である。私は大学受験生用の『古文単語320語』などを使って、まるで受験生のように丸暗記した。原文に触れているうちに自ずから使われる頻度の多い言葉や重要語句、たとえば「をかし、ありがたし、はづかし、あはれ、はしたなし、かたはらいたし、ながめ・・」などが分かってくる。
 源氏物語は、世界遺産中の世界遺産だと思う。できるだけ多くの日本人が挑戦されることを願っている。


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~ Comment ~

和文の流れを大切にした原文テキスト 

「源氏物語を原文で読む」で検索していて貴ブログを拝見しました。原文で15回、いや2016年一月には17回もお読みになっていると伺いまして、もしかしたら私の作成したテキストにも興味を持って頂けるのではないかと、お知らせする次第です。宣伝めいたコメントの段、ご容赦の程お願い申し上げます。
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