スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←四十七番目の宿場町・関 →爽やかに風は吹く
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 郷愁
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏物語
  • 【四十七番目の宿場町・関】へ
  • 【爽やかに風は吹く】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
 

郷愁

孫の引っ越し先

 ←四十七番目の宿場町・関 →爽やかに風は吹く
   孫の引っ越し先


 孫が、滋賀県の八日市市から名古屋に引っ越した。八日市は、周囲を田園に囲まれ、その田園を山が囲んでいるという盆地地帯で、自然あふれる所である。
 一番上の孫は、小学校3年生で、八日市の自然をたっぷりと満喫して育った。まさに八日市は彼の揺籃(ようらん)の地であった。彼の興味は、魚にある。だから、周囲の田圃の水路は格好の遊び場になっていた。
 ところが、今度の名古屋市南区という所は、どうやら都会のど真ん中のようである。名古屋から東海道で二つ手前に“笠寺”という駅があって、駅から10分ほどの所に社宅があるのだそうだ。名古屋の中心は中区や中村区だそうだが、南区もずいぶんの都会のはずだ。地図では南区も真っ赤に塗られている。
 だから、もちろん近くには田圃らしきものは皆無で、公園がわずかにあるだけという。
 この夏休み、彼が我が家にきた。
 早速、川に釣に行こうという。結局三日間、目久尻川に日参した。目久尻川は水質がよくなって、魚が群れをなしている。うどん粉を水に溶いただけのものを餌にして釣ってみたが、まあよく釣れること。彼に言わせれば、“アブラッパヤ”だそうだ。
 私の釣るのはほとんどが、15、6cmの小振りのものばかりであるが、孫はなかなか釣りの感覚がよくて、20cm以上の大物をあげた。“ウグイ”だ。
 と、そのすぐあとには、今度は腹の赤くなったこれも大物を釣り上げた。私が子供のころ「赤腹」と言っていたやつで、やはり“ウグイ”だ。
 この大物二匹はパパに見せるのだと言って持ち帰り、冷蔵庫で冷凍にして、パパが来るまで固まっていることになる。
 孫は、どうも魚を釣ること自体にはそれほどご執心でもなさそうで、一本しかない竿を私が使っていても「代わってよ。」と催促するわけでもない。もっぱら目久尻川に注ぐ小川をのぞき込んでは、流れの中を観察したりしている。そのうち
 「おじいちゃん、入ってもいい?」
と言うと、網を持って小川に入り込んだ。そして、水藻に網を差し込んでは
 「いた、いた。」
などと騒いでいる。メダカほどの小さなやつだ。
 「ドンコだ。これはメダカかな、ドジョウの子かな?」
 もう夢中になってしまって、釣りはどうでもよくなったようだ。
 私にすれば、1、2cmのこんな小さな魚よりも、「アブラッパヤ」の方がよほどいいと思うのだが。
 そろそろお帰りの時間である。しかし、彼はまだまだ夢中になってしまっている。その彼を促して
 「そろそろ帰ろうよ。みんな待ってるから。」
と言うと、仕方なしのようについてきた。でも、駐車場に行く途中で、また水路をのぞき込んでしまって、
 「いる、いる。」
などと言っている。どこやらのおばさんが、一緒になってのぞき込んで孫に聞いている。
 「なにがいるの、何て言う魚?」
 「ドンコだよ。」
 「ドンコって、どんな魚なの?おばさん知らないわ。」
 「ハゼみたいなやつだよ。」
 「ああ、そう、それならよく分かるわ。頭のでかいのでしょ。」
 なるほど、1、2cmの“ドンコ”をよく見てみれば、ハゼみたいな格好をしている。うまく説明したものだ。
 「さあ、日が暮れちゃうよ。帰らないと…。」
 しかたなしに、水路から上がってきた。
 そして、ぽつりと言った。
 「おじいちゃん、こういうところに引っ越してくるのには、どうしたらいいのかな?」
 思わず涙が出てしまった。名古屋に転居してまだ3か月。まだまだ名古屋にはなじんでいないのだ。いや、田圃や川や山がないのだから、彼にとってはなじみようがない。慰める言葉もなかったが、言った。
 「あのな、名古屋にはな、図書館があったり、博物館があったり、水族館があったり、動物園があったり、いろいろあるから、これから探すといいよ。」
 こんな言葉が、彼に通じるはずはないことは分かっている。彼にとっては、「川がなけりゃだめなんだ。」「魚がいなれりゃだめなんだ。」
 これからは、おじいちゃんの家に遊びに来た時は、どんどんここに連れてきてやろう。
 三日目は、彼のパパも一緒だった。パパに言わせれば、孫が「アブラッパヤ」と言っていたのは、実は「オイカワ」である。パパは「釣り大好き男」で、よく息子を連れて海釣りに行く。敦賀湾にまで行くこともあるそうだ。その影響で、孫も、釣りが好きになって、いろいろ魚を覚えて、ついに「魚博士」と友達に言われるまでになっているほどだ。
 彼のパパは、私が自分の子供に接していたよりも、はるかに親身になって子供に接している。だから、息子の嘆きはすぐ理解して、簡単に解消してやってしまうことだろう。
 南区は、地図で見ると名古屋港がすぐ近くだ。隣接していると言ってもいいほど海に近い。だから、かえって“魚博士”にとっては好都合でもあろう。
 それにしても、孫にとっては、実質的な「転居」は初めての体験である。しかも今度は“転校”という状況も絡んでいる。子供に与える影響は、計り知れないものがあるのだろう。彼にとっては掛け替えのない自然あふれる八日市からの転居であるとともに、知らない人ばかりの中で勉強しなければならないのだ。
 でも、何に対しても興味を持つ子だし夢中になる子だ。何も心配することはないのかもしれない。
 名古屋にはさまざまな見所がある。彼が歴史にでも興味を持つようになってくれればしめたものだ。美濃・尾張は歴史の宝庫だ。熱田神宮に代表されるように古代の歴史から、江戸に対抗した尾張としての誇りがいたる所に残っている。名古屋城はもとより、徳川美術館には国宝『源氏物語絵巻』まである。
 それに、名古屋の“港水族館”は、日経の雑誌『トレンディー』で日本の水族館ベスト3にランクされているし、“東山動物園”も、日本の動物園ベスト10に入っている。彼の興味・関心を引くものにこと欠かない。
 彼は性格もいいし、それに、なにより説明上手だ。友達もすぐ大勢できることだろう。そして、名古屋のことをいろいろ知って、いずれ、友達から 
 「名古屋博士」
などと言われて、意気揚々とするのもそう遠くはないだろう。
 しばし、孫よ、がんばろう。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 郷愁
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏物語
  • 【四十七番目の宿場町・関】へ
  • 【爽やかに風は吹く】へ
 

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【四十七番目の宿場町・関】へ
  • 【爽やかに風は吹く】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。