郷愁

ジョウビタキ来る

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   ジョウビタキ来る


我が家の庭にジョウビタキが来るようになって、今日で3度目だ。
今まで一度として見たことのない小鳥が、最近こうしてやってくるのはなぜだろう。以前、私の狭い庭のミカンの木やイタヤカエデの木に、山鳩やメジロが巣をかけひなを育てたりしたことがあったが、子供の頃はこんなに人の目のつきやすい所に巣をかけることはなかった。自然が何か変化している証拠なのではなかろうか。
子供の頃は、とにかく年中野山を駆けずり回っていたので、野鳥で知らないものはなかった。ホオジロ、オナガ、カワセミ、コジュケイ、ウグイス、モズ、ムクドリ、ヒバリ、ツグミ、コウモリ…。なんでもござれで、とにかく知らない鳥などない。鳥の名や姿を知っているだけではない。野鳥捕りもよくやったものだ。
メジロのことは以前書いたことがあるが、鳥を捕まえるために“トリモチ”を使ったこともある。ただ、トリモチでは一度として鳥をとらえることはできなかった。
 “ぶっつぶし”ではよくホオジロがとれた。スズメは空気銃でよくとれる。私は空気銃がへたでほとんど的を外してしまったが、遊び仲間のTちゃんなどは百発百中であった。とにかく彼はすごい腕を持っていて、私の肩を空気銃の支えにして、ケヤキのてっぺんに止まっているスズメをねらって外したことがない。しかも見事に頭を打ち抜くのだ。ちなみに杉の木のてっぺんなどで鳴いているモズは空気銃はきかない。命中しても平然と飛んでいく。羽毛に空気銃の玉がはねとばされてしまうのだ。
藤沢に“むさし屋”という小鳥屋があって、鳥がよくとれるというかすみ網を買いに行ったら、
「それは法律で禁止されている」
と諭された。
小学生でそれまでしたのだから、今思い出すと自分でもビックリする。小学校5、6年の頃はとにかく「鳥とともに」であった。
ところが、そんな私でもジョウビタキばかりはまったく見たこともなかった。ジョウビタキは赤褐色と黒と白の配色が整っていて、美しい鳥だ。こんな鳥が子供の目に触れないはずはない。
この鳥を知ったのは、ラジオから流れてきたCMからである。ガソリンのエネオスのCMで、山道を車で走っているのであろうか、
「カッコウ!カッコウ!」
というかっこうの声が流れてきて、続いて女の人の声が聞こえてくる。
「あ、あれはカッコウかも知れない。あら、ジョウビタキも鳴いている。」
私は、このCMを聞いていて、ずいぶん人をこばかにしたCMである、と思った。
鳴き声でジョウビタキを認識できる者が、
「あれはカッコウかも知れない」
はないだろう。それは置いておくとして、この時、ジョウビタキとはどんな鳥であろうかと興味を持ち、図鑑で見てみたが、やはりかつて見たこともない鳥であった。
ところが、このように私の庭にもやって来るような鳥であったとすれば、ひょっとすると、だれでも知っている鳥なのかも知れないし、私の認識が間違っていたのかも知れないと、改めて広辞苑を引いてみた。
「スズメ目、ツグミ科の小鳥。大きさはスズメくらい。冬、野原・田・畑などに多く、美しい。黒い翼に大きな白斑があるので、俗にモンツキドリともいい、また人を恐れないので、バカビタキなどと呼ぶ。馬鹿鳥。」
??“バカビタキ”とか“馬鹿鳥”とは何ということか。あの美しい鳥に対してひどすぎるではないか。とはいえ、「人を恐れない」とか「馬鹿鳥」と呼ばれていることからすれば、やはり相当人々に知られた鳥であるということである。私の認識が浅かったことは確かだ。これから、何人かの人に「ジョウビタキって知ってる?」と聞いて、それほど知られた鳥なのかどうか確かめて見るつもりである。
それにしても、「カッコウ」と鳴いているのに、「あれはカッコウかもしれない」はないだろう。あれでは今後カッコウも恰好がつかに。
「俺はいったいどう鳴けば自分の存在を分かってもらえるのだ。」
と。「ミンミン、ミンミン」と鳴いているのに、「あれはミンミンゼミかも知れない」と言うようなものだ。
ジョウビタキは、メジロ用に庭木の枝に刺しておいたミカンをついばむでもない。
地面をチョンチョン歩きながら何かを食べている。どうやらスズメと同じように穀物や虫を餌にしているのであろう。姿も美しいし、尻尾をひょいひょいと上げ下げする動作も愛らしい。「バカビタキ」とか「馬鹿鳥」などという、不名誉な名がつくはずはない。むしろ、“スリ-ト-ンカラ-鳥”とか“雅び鳥”とかこそふさわしい。
我が庭にもっとしばしばくるようになれば、私が、彼の名誉挽回のためにも何か言い名を付けてあげるつもりでいる。



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