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源氏物語

源氏物語たより369

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   雨夜の品定めの余韻と文章作法  源氏物語たより369

 「中の品」の空蝉と情を交わした後も、光源氏の意識から雨夜の品定めの話は消えることはなかった。なにしろ最上級の女性しか知らない源氏である。左馬頭が自らの体験として語った木枯らしの女や指食い女の話は、彼に強烈な印象を与えた。
 六条わたりの御忍びありき(六条御息所への通い)の際も、四条、五条の大路を通りながらそれぞれの邸を牛車の中から
 「この邸は中の品、この家は下の品」
などと呟きなら覗き見していたのだろう。
 だから、五条のむつかしげなる(むさ苦しい)大路の見入れのほどもない屋敷の切懸塀に咲いていた白い花は、夕顔と交情するほんのきっかけに過ぎなかったのだ。それ以前に「そうなるべき宿命」を雨夜の品定めが担っていたのだ。
 日頃彼には縁のない空蝉のような女でも、なかなかの魅力を持っているものだ、という知識を源氏に与えた。だから、今の源氏にはどんな階級の女でもよくなっていたのだ。
 『かやうの(空蝉のような)なみなみまでは思ほしかからざりつるを、ありし雨夜の品定めの後、いぶかしく(気がかりに)思ほしなる品々のあるに、いとど隅(くま)なくなりぬる(どの品にも気を回す)御心なめりかし』
とあることでも明らかである。夕顔の屋敷は、左馬頭に言わせれば「下の品」であるし、また源氏の目からすれば人の住むところとも言えないほどの、ものはかない屋敷なのである。それでも、彼は異常な興をもよおした。
 
 ところで、紫式部は、そんな中の品や下の品の女の話の中に、ふと六条御息所との交情の場面を入れるのだ。心憎いほどの文章構成である。六条御息所は、故春宮の妃であった。春宮が生きていて皇子でも生んでいれば、皇后の目もあったのである。源氏の愛人になる人ではなかった。その邸は、一町もあるはずで、
 『木立、前栽などなべての所に似ず、いとのどかに(ゆったりと静かに)心にくく(奥ゆかしく)住みなし』
ているのである。前栽には色とりどりの花が咲いている。「なべての所」とは、高級貴族の邸を指している。それとも比べようがないということである。まして、夕顔の屋敷など問題にならないし、もちろん「夕顔」など咲いているはずはない。
 紫式部がよく使う対象の妙であるが、実はこのことが、夕顔が、源氏に六条の廃院に連れてゆかれ、そこで急死する伏線になっているのである。なぜか、やはり夕顔の屋敷はあまりに狭すぎたのだ。源氏のような貴公子が、毎夜通い、愛を語るところではなかったのである。

 次回は、夕顔が六条の廃院に導かれる必然性をもう少し詳しく見ていってみようと思っている。


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