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源氏物語

源氏物語たより406

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   けしからぬ光源氏の懸想 その2『常夏』 源氏物語たより406

 夜も昼も玉鬘のことが源氏の頭から離れない。とはいえ、あまりたびたび彼女のところに渡って行くのも気が咎める。と、彼は、とこう考えあぐねるのである。 
 「自分はどうしてこんな埒もないことで辛い思いをするのだろう。彼女を妻にしてしまうことができないわけではないが、世間のそしりを受けることは必定。そうなれば自分はともかく玉鬘が気の毒だ。
 また多くの妻がいる中で、彼女をどのように扱ったらいいというのだ。紫上以上の立場に置くことはできない。所詮中途半端な扱いになるだろう。
 だったら、彼女をひたすら愛し厚くもてなしてくれる男と結婚させた方がいいかもしれない。例えば兵部卿宮や鬚黒大将などだ。それは残念なことだが、そういう男に任せれば自分の気持ちも収まっていくだろう」
 なかなか妥当な結論にたどり着いたようである。
 ところが、その思いの乾かぬうちに、もう彼の好き心は騒ぎ出す。
 『御琴、教へたてまつり給ふにさへことづけて、ちかやかに馴れ寄り給ふ』
のだから、手の施しようもない。確かに琴を教えるためには、馴れ馴れしく「近やかに」身体を女に寄せていかなければならないのだが。

 ところが、不思議なことに、初めこそ源氏の好き心を嫌がりもし気持ち悪くも思っていた玉鬘であるが、ここにきて心境に変化をきたしてしまった。源氏さまも随分危ないことを言われるが、どうやらそれ以上のこともなさらないようだ、と安心すると、さほど源氏を疎むこともなくなってしまった。源氏の語りかけに対する返事にもこぼれるような愛嬌があってますます美しく輝いて見える。彼は募る思いを抑えられなくなった。
 『なほ、さてもえ過ぐしやるまじく思ひ返しす』
のである。何と、元の木阿弥に戻ってしまったのである。
 そうかといって、若き頃、空蝉や朧月夜にしたような強姦まがいの乱暴もできない。そこで作戦を変えなければならなくなった。
 『かくまだ世馴れぬほどのわづらはしさこそ、心苦しくはありけれ』
 「玉鬘が男を経験していないことがそもそもいけないのだ。それを気遣うあまり、相手を不憫に思ってしまって、大胆な行為に奔れなくなるのだ」という意味である。そこで源氏が結論付けたのが、
 「やっぱり誰かと結婚させてしまうに限る。そしてこの六条院に男を通わせて、さるべき折にこっそり忍んで行って、思いを遂げてしまうのが一番」
ということで、何とも浅ましい帰結であった。それは
 『ものの心知り初め、いとほしき思いなく』
なればいいのだという不埒な考えに基づいている。「ものの心知り初め」とは、ズバリ言えば「男女の在りようを知ってしまえば」ということである。つまりは「処女でなければ」ということ。そうなればこっそり逢瀬の機会を作り、性的な関係を持とうが、やましいことはないし、可哀そうと感じることもなしですむ、というのだ。
 これはもう倫理とか道徳を超越している世界で、我々凡人には、「人倫を無視した何とも破廉恥な思考」としか思えないものだ。が、彼はごく当たり前のように考えるのだから、平安時代の貴族社会のありようを考え直さなければならなくなる。あの時代、これほどに性倫理が乱れていたとは思えないが、事実・現実を重んじる紫式部のことだから、ありえないことではなかったのだろう。もっとも紫式部は、このすぐ後にこう言って非難しているのだから、彼女の本心が理解できない。
 『(源氏の考えは)いとけしからぬことなりや』

 この後、玉鬘は、一般の予想に反していかにも無骨そうな鬚黒大将と結婚することになった。大将自身信じられない結果だったのだろう、骨折ってくれた女房の弁のおもと(玉鬘の女房)を、石山の仏と共に並べてあがめ戴くのである。(石山寺に玉鬘との結婚を祈願していたのだろう)
 一方の玉鬘はたまらない。もっとも粗野で無趣味で結婚など毛頭考えもしなかった鬚黒に決着してしまった自分の宿命を恨んで涙にくれるのである。そして「こんなことなら源氏さまの方が・・」と思わないでもなかった。
 この後、六条院に通う鬚黒の隙をついて、玉鬘に逢ってことを遂げるという源氏の思惑は実現したのだろうか。なにしろ鬚黒大将は、
 『名に立てるまめ人の、年ごろいささか乱れたる振る舞いなくて過ぐい給へる名残りなく、心ゆきて、・・宵・あか月のうち忍び給へる出で入りも、艶にしなし』
というほどの有頂天。「まじめという評判などどこへやら、びっしと着飾って色めかしく振る舞って通う」という有様で、隙などあろうはずがない。
 ところが、さすがに源氏である。
 『大将のおはせぬ昼つかた、渡り給へ』
るのだ。あの若き日の大胆不敵は少しも失われていなかった。しかしいまさら何ができようか。几帳の上から彼女の様子を覗くのがせいぜいで、歌を交わし合って思いを紛らすしか方法はなかった。源氏の歌。
 『おりたちて汲みはみねども 渡り川 人の瀬とはた契らざりしを』
 この歌は当時の言い伝えを知らないと理解できない。「渡り川」とは、例の三途の川のことである。女はあの世に行くと、最初に契った男が三途の川で待っていて、女を背負って向こう岸に渡すのだという。「下りたちて汲みなみねども」とは、「私はあなたと最初に契ったわけではないけれども」ということで、全体の意味は、「まさか他の男があなたと契るようになるとは思いもしなかった」という未練たっぷりの歌で、未だに源氏は危ない橋を渡ろうとしているのだ。
 でも、鬚黒は、源氏のそんな御本性を熟知しているから、ある時突然玉鬘を自邸に引き取ってしまう。
 これにて源氏玉鬘物語は一件落着である。


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