スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←源氏物語たより460 →源氏物語たより462
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 郷愁
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏物語
  • 【源氏物語たより460】へ
  • 【源氏物語たより462】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
 

源氏物語

源氏物語たより461

 ←源氏物語たより460 →源氏物語たより462
   不倫のテクニック  源氏物語たより461

 光源氏は、空蝉と思わぬ契りを交わしたが、相手は夫のある身、再び逢うことは容易なことではない。しかし何とかして逢いたいものと思い手紙を送る。その手紙に添えたのが次の歌である。
 『見し夢を逢ふ夜ありやと嘆く間に 目さへ合はでぞ頃も経にける』
 難解な歌である。それは、もともと手の込んだもので、意味を取りにくくしてあるからである。「見る」は、男女が逢うこと、あるいは関係を持つことである。源氏は実際に空蝉と関係を持った。しかしそれを現実に逢ったのではなく、「あなたを“夢”で見たのだが」と紛らわせて言っている。
 なぜそのように言ったのであろうか。それは相手が夫持ちであるからである。手紙は時に本人の手でない者に渡ってしまうこともある。夫の手に渡ってしまうことだって可能性がないとはいえない。でも、たとえ夫の手に渡ってしまったとしても、「夢で見たのですよ」と書いておけば、最悪の事態は免れることができる。恋のベテラン、源氏にして可能なテクニックである。

 柏木は、源氏の正妻・女三宮を恋い焦がれ、ついに関係を持ってしまった。その一度だけで止めておけばよかったのに、その後も逢い続け、手紙もしばしば送っていた。
 ある時、その手紙をこともあろうに源氏に見つけられてしまう。鋭い源氏は、その手紙は柏木のものに間違いないと断定する。なぜなら
 『まぎるべき方なく、その人の手なりけり』
と見たからである。「その人」とは、もちろん柏木のことであり、「手」とは筆跡のことである。手紙の筆跡を見て、即まぎれもなく柏木のものと分かったということである。 
 源氏は、男からの手紙を夫に見つかってしまうような妻の粗忽をひどく軽蔑して、「やっぱりなあ!」と嘆く。日ごろから女三宮の幼さや心用意のなさを苦々しく思っていたのである。
 と同時に、柏木の用心のなさにも呆れはてるのである。柏木の手紙の内容も悪かった。
 『年を経て(女三宮を)思ひわたりけることの、たまさかに本意かなひて、(そのためにかえって)心安からぬ筋を書き尽くし』
していたのである。「本意かなひ」とは女三宮と契りを結んだことで、それを手紙で明らかにしてしまっているのだから確かにひどい。源氏は皮肉な目で、
 「たいそう見どころのある、心ゆすられる手紙ではあるが、これほどはっきりと書くべきものであろうか」
とその粗忽さ用意のなさを非難するのである。そして、かつて自分もそういう手紙を書いたものだが、こんなに不用心ではなかったと回想する。
 『昔、かやうにこまかなる(事細かな内容を書く)べき折節にも、ことそぎつつこそ書きまぎらはししか』
 こと細かな手紙や危ない手紙は細心の注意を払って書くべきなのに、柏木のあまりの無分別さに、その人間性まで劣った者に思われてくるのである。そして用心深く事を運ぶということはやはり難しいことなのかと、彼は改めて思い至る。
 こういうことに当たっての源氏の思慮深さは、恋の練達が生み出した技術でもあろうが、彼の生まれながらの性格や才能も寄与していよう。

 それでは、彼が若い時に空蝉に送った歌にもう一度目を向けてみよう。彼は
 「あなたに逢うことができぬものかと嘆いているうちに、「目さへ合は」なくなってしまって、隋分時も経ってしまいました」
と詠っている。その心は「あなたと会えないどころか、目さえ合わなくなってしまった」というもので、目が合わないということは夜も眠れないということである。夜寝れないということは夢も見ることができないということである。ここで「会う」と「合う」とを掛けて洒落を利かせながら、さらに女心をくすぐる婀娜ごと(夜も眠られないほどあなたのことを・・)まで交えているのである。
 夫に対する用心の中に、ちゃっかり女の心をとらえる殺し文句まで忘れないとは、さすがに天賦の色好みと言える。

 さて、これをもし空蝉の夫が読んでしまった時に、夫はどう感じるであろうか。
 「源氏さまは、どうやらうちの女房(妻)のことが好きのようであるが、まだ会ったこともないのだな。源氏さまは色好みで有名であるから注意しないといけないが、それにしてもあんなにご立派なお方が、うちの女房に夢中になり夜も眠れないというのだから、わが女房も相当魅力的な女ということになる。そんな女を妻にしている俺も・・」
ということで幕を引くであろう(?)。
 もっとも、源氏は、手紙を相手の夫に見られてしまうような粗忽は絶対にしないだろうから、「もし」は杞憂というものであるが。

 源氏のこの心用意は、現代の男も女も見習う必要がありそうである。今では相手に手紙を送るなどということはないだろうが、携帯のメールなどは気を付けた方がよろしい。メールをしたらすぐに消すこと。まして「昨夜は・・」などとは決して入れてはいけないご法度文句であること。杞憂ながら。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 郷愁
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏
もくじ  3kaku_s_L.png 源氏物語
  • 【源氏物語たより460】へ
  • 【源氏物語たより462】へ
 

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【源氏物語たより460】へ
  • 【源氏物語たより462】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。