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源氏物語

源氏物語たより612

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     弘徽殿女御、屈辱の座   源氏物語たより612

  南殿の桜の宴で、玉座の隣に藤壺中宮と春宮とが御座を占めた。これを見て心穏やかでなかったのが、弘徽殿女御である。なぜなら本来であれば、あの座には弘徽殿女御が座っているはずだからである。彼女は誰よりも早く入内したのだし、第一皇子も彼女の子供である。どう考えても、また誰が考えても弘徽殿女御こそ、中宮になるべき資格を供えていた。
 
  ところが、ある時、桐壷帝が、理屈にもならない理屈を並べて、藤壺宮を中宮の座に付けてしまった。女御は完全に丸め込まれてしまったのである。その理屈とは次のようなものである。
  「私は近々譲位するつもりでいる。もちろんあなたの子である春宮が次の帝の位に就くことになる。となれば、あなた(弘徽殿女御)は押しも押されもせぬ皇太后、だから安心していなさい。
  ついては藤壺宮を中宮とし、その子(後の冷泉帝)を春宮としたいと思う」
  桐壷帝とすればまったく理屈なきことではなく、後見のしっかりしていない藤壺宮を
  『動きなき様にし置きたてまつりて、つよりに』
しようと思ったからである。寵愛する藤壺宮ではあるが、しっかりした後見がいない。そこで「后」という位を授けて、自分の死後、それが強力な権威になるよう図ったのである。しかしこれはあくまでも帝の勝手であって、弘徽殿女御のあずかり知らぬことである。
この話を聞いた時には、弘徽殿女御は、強い不満を持つとともに、抵抗もしたはずである。その間のことは物語に描かれていないので想像するしかないのだが、彼女の気持ちは煮えくり返っていたに違いない。事実、世間の人さえ、この措置には驚き呆れているのである。
  こんな無理が通ったということは、桐壷帝の権威が盤石になって来ていた証拠でもある。かつて光源氏の母・桐壷更衣を溺愛していたころの弱々しい面影は全く見られない。逆に、弘徽殿女御の父親である右大臣側の力が弱まっていたということもあろう。

  この帝の無理な決定のために、衆人環視の中で弘徽殿女御が耐えられない屈辱を味わう羽目になるのである。それは
  『如月の二十日余り、南殿の桜の宴せさせ給ふ。・・日、いとよく晴れて空の気色、鳥の声も心地よげなる』
宴の席であった。そんな晴れの席で、一人屈辱を噛みしめていたのが弘徽殿女御であった。何しろ
  『后、春宮の御局、(玉座の)左右にしてまうのぼり給ふ』
のだから、我慢がならない。「日、いとよく晴れて空の気色、鳥の声も心地よげなるに」とは何と言う皮肉であろうか。周囲の様子さえ女御の気持を逆なでする。
  それなら参列しなければいいのにと思うのだが、「いとさがなき」弘徽殿女御ではあっても、彼女も女、年に一度の桜の宴とあっては家に引っ込んでもいられず、
  『物見にはえ過ぐし給は』
で、参加したのである。
  日ごろも藤壺中宮が自分を飛び越えて玉座近く侍っているのを快からず思っていたのだが、今日はまた特別である。何しろ大臣はじめ上達部などの百官が集っている晴れやかな場である。そんな場で、自らの地位をいやがうえにも知らされてしまったのである。
  人々が歌や踊りや作詩に興じざわめいている宴の間中
  「本来ならあの座に私が・・」
という思いが彼女の脳裏に渦巻き続けていたことだろう。

  この女御の思いは現代でもあることで、催し物の際の来賓の席の上・下などがよく問題になる。学校の卒業式などというはかなき行事でも、席順をどうするか主催者とすればひどく頭を悩ますところである。現に「俺より若いのに」とか「身分が下だというのに」とかいうことでトラブルになった例を知っている。
  まして位階が厳然と定まっている平安時代の貴族にすれば、後からきたものが自分を追い越し、上席に座ってしまうなどは容易には容認できなかったのではなかろうか。
  桐壷院の亡き後、弘徽殿女御の憤懣は、藤壺中宮の後見人である源氏へと向かっていく。源氏が須磨に蟄居せざるを得なくなったのも、日ごろの彼女の怨みと屈辱が積もり積もった結果である。



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