源氏物語

源氏物語小さなたより2

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   方違えの功罪  源氏物語小さなたより2

 “方違え(かたたがえ)とは、
 『他出する時、天一神(なかがみ)のいるという方角に当たる場合は、これを避けて、前夜、吉方(えほう)の家に一泊して方角を変えて行くことを言う(広辞苑)』。


 この方違えを悪用して女と密会しようとする男が出現したり、偶然男女の逢瀬が演出されたりすることがある。源氏物語にも、時折この方違えが顔を出す。
 光源氏(以下 源氏)は、これを悪用して、空蝉に逢っている。
 源氏は、左大臣の娘・葵上と結婚したが、彼女の気位の高さを嫌ってあまり左大臣宅には通いたくない。
 ある時、内裏から左大臣宅に行くと、ここと内裏の方角が塞がっていた。そこで、方違えをすることにした。その方違えをしたところが、受領の紀伊守の家で、ここにかの空蝉がいたのだ。
 源氏は、当初から方向が塞がっていることは承知していたのである。紀伊守の家に空蝉がいることも先刻承知であった。葵上に逢いたくないということと、中流階級の女に逢ってみたいという計算をちゃっかりしていたのである。
 二度目は、夕顔との出会いである。この時は、夕顔が方違えをしていた。右京に住んでいた夕顔が、右京から山里に移ろうとしたが、方向が塞がっていたので、五条のあのごみごみしたところに方違えをしていた。そこて、源氏と劇的な邂逅をすることになったのである。甘く悲しい邂逅であったが。
 天一神は、十二神将の主将で、16日間は天にいるが、己酉(つちのととり)の日に、天から下ってきて、東北の隅に6日間いて、以降、東に5日間、東南に6日間、南に5日間と順次巡り、45日目に天に帰っていく。この間60日間。 
 自分の行こうとしている方向に天一神がいる場合を「方塞がり」と言い、この場合は家で物忌みをしているか、居場所を変えてから出かけなければならないなど、現代から考えれば、随分おかしな話だが、古代人は結構これを真剣に考えていたようだ。 
 しかし、一方、源氏のように平気で悪用している者もいるから、信じていない者もいたのであろう。そもそも紫式部は宗教さえ(特に修法など)信じていなかったのでは、と思わせるところが随所に出てくる。






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