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源氏物語

とんとん拍子の出世  源氏物語たより683

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     とんとん拍子の出世  源氏物語たより683

  夕霧は、秋の司召でこうぶりを賜う。秋の司召とは、地方官の任命が春行われるのに対して、京官(京都に在住し勤務する官吏)は毎年秋に行われるからそう呼ばれるのだが、この司召で、夕霧は五位に叙された。正真正銘の殿上人になったということで、しかも彼は侍従である。天皇のお傍に仕える将来有望な官職である。時に十三歳。
  あれほど嫌がっていた緑の袍をついに脱ぐことが出来たのである。「ついに」とは言ったが、実は緑の袍を着ていたのはわずかな期間に過ぎない。大学に入ったのが、十二歳の春で、優秀な夕霧はすぐに寮試に受かって擬文章生になっていた。
  さらに例の冷泉帝の朱雀院への行幸の時の省試でも優秀な成績を上げ、翌年の春には「擬」が取れて文章生になっていたのである。そんな彼であるからわずか一年半の大学生活(と言っても大学に通っていたわけではない。家庭教師が付きっきりであった)を送っただけで、こうぶりを得るのも当然で、別に驚くには当たらない。

  これは既定のコースなのである。父・光源氏は内大臣であるし、母・葵の親は太政大臣であった。これほどの毛並みの良い者はそうはいない。つまり大学での成績が優秀であるか否かなどは関係なく、これだけ毛並みの良い家の子弟はところてんのように出世していくのは当然のことだったのである。彼にとって大学は道草を食ったというだけのことである。
  この年、源氏は太政大臣になっているが、これも既定のコースである。夕霧もいずれは内大臣になり太政大臣になるであろう。

  ところが、不思議なことには、雲居雁の乳母はそのあたりに対する感覚が鈍っていたのだろうか、夕霧と雲居雁が恋仲であるとわかった時に、この乳母は、夕霧を
  『六位宿世』
と侮るのである。その部分の彼女の言葉をもう少し詳しくみておこう。
  『いでや、憂かりける世かな。・・めでたくともものの初めの六位宿世よ』
  「もののはじめ」とは、結婚のはじめということで、
  「雲居雁様が結婚するに当たって、たかが六位風情が相手とは、ああ、なんとも情けないことではないか」
という意味である。まるで夕霧などは箸にも棒にもかからない屑と言わんばかりである。そんな男が雲居雁様の結婚相手など考えられもしないと嘆いているのである。
  それにしてもこの嘆きは理解できない。現に、祖母の大宮も、雲居雁の相手として夕霧ほど適当な男はいないと思っているのだし、彼女の父・権中納言でさえ、表面上は強固に二人の結婚に反対していながら、内心では夕霧でいいと思っているのだ。

  それでは、あの乳母の言葉は何処から来たのであろうか。一つには雲居雁の父(権中納言)が反対しているので、それに調子を合わせなければならないということもあったかもしれない。
  別に考えられることとしては、雲居雁を冷泉帝に入れたいということがある。乳母とすれば、自分の主が帝の妃になれればそれは確かに理想で、これなら夕霧と結婚するよりも乳母とすれば鼻が高い。
  しかし、それは無理な話である。なぜなら冷泉帝には既に権中納言の長女が弘徽殿女御として入っている。権中納言は、この弘徽殿女御を将来は后にしようとして命を懸けて入内させたのである。しかも雲居雁の母は、権中納言の正妻ではないし、今は別の男に嫁いでいるのだ。とても弘徽殿女御には歯が立たない。
  それでは春宮に入れることであろうか。しかしこれも極めて難しい。なぜなら春宮はまだ十歳にもならないのである。それに源氏の娘・明石姫君が将来春宮に入るであろうことは大方の常識のようになっている。
結局、乳母の真意はどこにあるのか分からないのである。

  一方、「六位宿世」と侮られた夕霧の心には、ずっと後までこの侮りの言葉が残ることになってしまう。
  六年後、内大臣(先の権中納言)の軟化で二人は無事に結婚することとなる。とともに夕霧は中納言に昇進する。この時を待ってでもいたように、今度は夕霧が厳しい皮肉をこの乳母に返すのである。
  「あなたがおっしゃった六位宿世が、これほど出世するとはつゆ思わなかったでしょう?」
というもので、これには乳母は顔色なしで恥じ入るしかない。
  彼女はこんな歌で心中を夕霧に伝える。
  『二葉より名だたる園の菊なれば 浅き色わく露もなかりき』
  意味は「名門に生まれ育った方ですから、いつまでも分け隔てするような気持ちは毛頭ございませんでした」ということである。
しかし、この歌で一層この乳母の人となりが理解できなくなってしまった。夕霧は、先に述べたようにこの上ない血筋であることは誰もが承知している事実なのである。それが分かっていてなぜ「六位風情」などと侮ったのだろうか。彼女はわびも言ってはいるが、「浅緑の袍を着ているからと言って露も分け隔てはしていない」とは、あの時のきつい侮りとは違って、ずいぶん筋の通らない話ではないか。
  やはり彼女の真意はつかめない。

  『若菜』の巻で、朱雀帝は、鍾愛の女三宮を誰に嫁がせるか大いに悩み、大勢の候補があげられる。その中に太政大臣(先の内大臣)の嫡男・柏木の名も挙がった。ところが柏木はまだ官位も低いということで一蹴されてしまう。
  この経緯もどうも私には疑問に思えてならないのである。太政大臣の嫡男であれば、およそのことがない限り将来は太政大臣に決まっている。皇女が降嫁するにはこれほど適した相手はいないはずである。しかし結局は源氏に降嫁することになってしまう。源氏と女三宮の年の差は、なんと二十五歳、源氏はこの時四十歳で、今で言えば初老にあたる。これほど不釣り合いな結婚相手はない。それにもかかわらず、「柏木は官位が低い」ということで一蹴されてしまうのだから、理不尽というしかない。もし柏木と結婚していれば、後の悲劇(柏木は憤死し女三宮は若くして出家してしまう)は起こらないで済んだのに。

  夕霧の場合は何も事なく済んだが、柏木は悲惨である。物語に変化を付けるためではあろうが、どうもこのあたりの作者の考え方が分からない。あるいは当時は、結婚の相手は年齢には関係なく、官位のみを中心にしていたのだろうか。
  疑問の形でこの項が終わってしまうが、知りたいところである。

 


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